昭和の未解決事件 三億円事件

三億円
1968年、東京都府中市で日本信託銀行国分寺市店の現金輸送車から現金3億円が奪われた事件。
3億円もの大金は東京芝浦電機(現在の東芝)のボーナスとして用意されたもので、46年前の3億円と言えば、現在の10億円にも匹敵する。
金額もさることながら、特異な点は犯人が白バイ隊員の装いで白バイ風のバイクに乗っていたことだ。
この事件は未解決事件として1975年に刑事時効が成立している(民事時効は1988年成立)。

強盗ではなく「窃盗」

府中刑務所の北側の路上で偽白バイ隊員から「輸送車にダイナマイトが仕掛けられいる」と言われた3億円輸送車。
同銀行には数日前に爆破予告の脅迫状も届いていたため、運転手は現金輸送車をとめた。
ほどなくして、車体の下から煙が出始めた(のちに発煙筒の煙だと判明)。
「爆発するぞ!!」と偽白バイ隊員の声。
車から行員を降ろして避難させたのち、偽白バイ隊員は現金輸送車を運転してどこかへ走り去った。白バイは残したままである。
3億円を奪いはしたが、暴力を振るっていないので「強奪」ではなく「窃盗」にあたる。

車はどこに消えた???

偽白バイ隊員が現金輸送車の行員に声をかけてから、逃げ去るまでわずか2分。
残った白バイが偽物だと気づいた行員がいたため、爆破事件ではなく現金を奪われたことに気づく。が、時すでに遅し。
犯行1時間後には輸送車に使用されたセドリックが国分寺西元町で発見された。
犯行現場よりわずか1.3km北側の場所のクヌギ林だった。
その後、犯人は濃紺のカローラに乗り換え逃走。
このカローラは国分寺からほど近い小金井市本町で発見されているが、発見はなんと事件から4ヶ月もあとのことだった。

遺留品、目撃者、別件通報

犯人は残していった偽白バイをはじめ、発煙筒など150点以上の遺留品を残した。
そして通勤時間帯であったため対向車も多く、府中刑務所の監視官、偶然走っていた自衛隊車両など目撃者している。
さらにセドリックを運転中に3人の主婦に泥水をかけ(犯行当日は雨が降っていた)、ナンバーを控えていた主婦が警察に通報もしていた。

一人歩きしたモンタージュ写真

ヘルメットに白バイ隊員の制服姿の男。
3億円事件の犯人のモンタージュはあまりに有名である。
そもそもモンタージュ写真とは目撃証言をもとに顔のパーツを合成して作る「犯人はこんなかんじの顔」という架空の写真だが、あの写真は容疑者の少年に似ている「別人」にヘルメットをかぶせて作成した写真であった。
(しかもその「別人」は故人であり、遺族には無断で使用!!)
1974年に破棄されているが、人々の記憶に強く残っているのは言うまでもない。

容疑者が自殺後、シロへ・・・。
容疑者リストには11万人

この「容疑者の少年」とは当時、車両窃盗を繰り返していたグループのひとりで、警察関係者、しかも交通機動隊隊員の19歳の息子であった。
あくまで少年は「容疑者のひとり」であったが、少年は事件発生5日後に青酸カリで謎の死を遂げた。
自殺として処理されたが、青酸カリの袋に少年の指紋はついていなかったという。
事件発生前に、同銀行に届いた爆破予告の脅迫状についた血液型、筆跡も彼のものではなかったことから、彼はシロとなった。
複数犯となれば方向は変わってきたのかもしれないが、少年はすでに鬼籍の人となっていた。
時効成立までに、容疑者リストにははなんと11万人の名前があがっていたという。

真相は解明されないまま、時効から2015年で41年目になる。

ReXg
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