集団ヒステリー 踊りのペスト

踊りのペスト
インドの川の水が甘くなった記事「インド 最も汚い川の水が甘い!?」でもご紹介したが、「集団ヒステリー」という現象は世界でしばしば起こる。
ひとりが何かの症状を訴え、それが周囲にどんどん伝染していくというものだ。
日本でも2013年に兵庫県の女子高校生18人が過呼吸の集団ヒステリー状態に陥ったことが話題となった。
この症状、古くはヨーロッパの「魔女狩り」などに代表される。
誰かが何かを言う、行動すると同じことをしてしまうのだ。

不眠不休で踊り続ける!? 

1581年、旧・神聖ローマ帝国領のフランスのストラスブールで、ひとりの女性が路上で激しく踊りだしたという。
何日も踊り続け、次第に人々がその踊りに加わり始め、1週間で34人、1ヶ月で約400人が踊り狂った。
不眠不休で踊り続けるため、結果的に衰弱、疲労、心臓発作、脳卒中などで死亡するまで踊り続けたという。
この事件は「踊りのペスト」と呼ばれている。

踊りの「ペスト」と呼ばれる理由

ペストとは「黒死病」とも呼ばれる病気で、1347年から1350年にかけてヨーロッパ全土を襲った病で、もともとはネズミなどがかかる病気。
罹患すると皮膚が黒く変色することからこの名がついたと言われる。
この病でヨーロッパ全土の人口が3割が命を落とした(5割という説もある)。
あまりの死者の多さに、人々は絶望した。
治療法もわからないまま、人々は祈祷するほかない。
祈祷する際、自然に踊りへと発展し、人々は半狂乱になって倒れるまで踊り続けたという。
これは「死の舞踏」と呼ばれ、15世紀に入って多くの絵画として残された。
230年の時を経て、ペストは流行していなかったが、全く同じ現象が起きたため「踊りのペスト」と呼ばれるようになったというわけである。

なぜ人は絶望した時に踊るのか? 

さて、「死の舞踏」といい、「踊りのペスト」といい、人はなぜ絶望した時に踊るのだろうか。
ペストが流行した際には、祈祷から踊りに転じたこと、「踊るとペストが治る」と信じられていたという説もある。
だが、「踊りのペスト」が発生した時には、もうペストは流行していなかった。
そして17世紀ごろまではヨーロッパ各地で踊る集団ヒステリーが起きていたという。
人はなぜ踊るのか?

・・・それはいまだに解明されていない。まさに世界の七不思議なのである。

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