迷宮入り 通称「赤毛布の男」殺人事件

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1906年、福井県で起きた未解決殺人事件。
都市伝説のように語られている「赤毛布の男殺人事件」だが、実際に起きた殺人事件だ。
なぜか犯人は「赤毛布」をかぶっていたという内容で語り継がれているが、本当は「青毛布」であった。

青毛布の男が現れる

時は明治39年(1906年)の2月11日、吹雪の夜に事件は起きた。
夜9時ごろ、福井県三国町(当時)の船問屋「橋本利助商店」を見知らぬ男が訪れた。
ほおかむりをして、さらに上から青毛布をかぶっていて、顔が見えないようにしていたという。
男は店の番頭の加賀村吉を呼び出した。
村吉の本家からの使いで、村吉の親戚のおばあさんが倒れたので村吉を迎えにきたという。村吉は男と連れ立って店を出た。

自宅を3度訪れた
青毛布の男

その後、村吉の自宅に青い布の男が現れた。
男は村吉に告げた内容を口にして、村吉の母・キクを連れ出した。
その1時間後にまた村吉の自宅に現れ、今度は村吉の妻・ツオを同様に連れ出した。
さらにしばらくして、村吉の2歳の次女まで連れ出そうとした。
この時、村吉の自宅にはツオに次女の子守りを頼まれていた隣の家の女性がおり、夜が遅いこと、外は吹雪であること、なにより不審に思った女性は次女を渡さなかったという。

ツオとキクの遺体を発見

一夜あけた2月12日の早朝。
あたり一面に雪が降りつもっていた。
三国町と新保町にかかる橋の中央の雪が真っ赤に染まっていた。
付近の川からツオとキクの遺体が発見されたが、村吉の遺体は発見されなかったことから、最初は村吉の犯行が疑われた。
だが、残された血痕もが多量であったため、殺害されたものと断定したが、村吉の行方はわからずじまいだった。
奇妙な点は犯人が3度も村吉の自宅を訪れていることだ。
2歳の幼い次女までも連れ出そうとしたことから、村吉の家族全員を殺害しようとしていたことがうかがえる。
金品は一切奪っていない。
村吉一家に強い恨みを抱いていた者の犯行であると考えられたが、捜査は進展しないまま、大正10年(1921年)に時効を迎えた。
この事件を題材にして松本清張が「家紋」という小説を書いている。
興味があればご一読を。

繰り返すが、都市伝説のように語られる「赤毛布の男殺人事件」。
実は「青毛布の男殺人事件」であることをお忘れなく―――。

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